悠田ドラゴのAll-Out ATTACK!!

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ゴジラのスクリーン映えする背ビレ ベスト5

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前回は「ゴジラ映画の記憶に残る悪役ベスト5」と題して『VSビオランテ』の工作員SSS9や『VSキングギドラ』の未来人ウィルソンなんかをご紹介したわけですが、今回はゴジラのある部位にランキングをつけたいなと思っております。

 

彼の背中に生えている、かっこいいものと言えば背ビレですね。

 

筋肉のないシュワルツェネッガーなんて想像できないのと同じように、背ビレの生えていないゴジラゴジラと認めるのは難しい。彼をゴジラたらしめている重要なパーツであります。

 

初代ゴジラをデザインするにあたっては恐竜ステゴザウルスの背ビレがモチーフとなったけですが、その形状はシリーズが回を重ねるごとにアレンジが加えられていき、今や『ブレードランナー』のヴァージョン違い並みにヴァラエティ豊かです。

 

ただ最低限のルールみたいなものもあって、配列は3列(5列に見えるものもある)で真ん中の列の背ビレが左右よりも飛び抜けて大きい(後述しますがエメゴジは例外)、という点はだいたい共通しています。

 

その役割は、文献によっては体内エネルギーの調節弁みたいに説明されており(例えば『ゴジラ1954-1999超全集』では「熱線放射時の余剰エネルギーを解放する放電ビレ」という記述があります)、たしかに一番理にかなっている設定かなと思います。ちょろっとググってみると、元ネタのステゴザウルスの背ビレも、体温調節の役割を担っていたという説が有力だそうです。

 

あとは単純に、装飾物としての役割も大きいですよね。サイや鹿の角みたいに、生き物としての強さを象徴しているようにも思えるし、男根的シンボルといっても良いかもしれない。

 

前置きが冗長になっちゃいましたが、ではでは本題にいきたいと思います。

 

ゴジラのスクリーン映えする背ビレベスト5!

 


第5位 ミレゴジの背ビレ


ゴジラ2000ミレニアム』『ゴジラ×メガギラス』
造形:MONSTERS(造形プロデューサー:若狭新一)

 

シリーズ史上、最も主張の強い背ビレと言えるのがミレゴジです。とにかくデカい!トゲトゲ! ソフビを正面から見ると、頭の上からはみ出てちょんまげみたいに見えるくらい主張が強いんですよ、彼の背ビレは。

 

「VSシリーズとは一線を画する新しいゴジラを」ということでプロデューサーの富山省吾氏、監督の大河原孝夫氏、特殊技術の鈴木健二氏らが侃々諤々と議論を交わしていた製作初期から、「大きな背ビレ」はひとつのキーワードになっていたそうな。そこで膨らんだイメージをデザイナーの西川伸司氏や造形の若狭新一氏が具現化したのがこのミレゴジの、剣のごとき背ビレであります。実際『×メガギラス』では、背ビレスラッシュ(非公式)をトンボ大怪獣にお見舞いしておりました。

 

配色も独特で、基本的にゴジラの背ビレは根元が黒(表皮色)で先端側が白なんですが、ミレゴジのは白ではなく紫っぽい。当初はもっとオーソドックスな色味だったのが、「これでは物足りない」という鈴木氏の意向でパールピンクに変更。結果、メラメラと燃え盛る炎のようなルックスの、文字通り先鋭的な背ビレが完成したのでした。

 

第4位 キンゴジの背ビレ


キングコング対ゴジラ
造形:利光貞三ら東宝造形スタッフ

 

キンゴジは『ゴジラ』『ゴジラの逆襲』の造形と比べて、耳がなくなり足の指の数が4本から3本に減った点が大きな変更ですが、背ビレのゴツさが増長されているのも見逃せないポイントです。

 

前2作よりも厚みが増し、やや大きめになった印象の背ビレは、キングコングと組んず解れつの激闘を繰り広げる中でユッサユッサとダイナミックに躍動。背ビレファンにはたまりません。

 

また、本作はシリーズ初のカラー作品であり、熱線を吐くときに背ビレが青白く光るという演出を初めて確認することができた1本でもあります。その後VSシリーズまで連綿と受け継がれてきた、熱線発射時のイメージがこの時確立されたわけですね。そういったゴジラ史観的な重要性も踏まえての4位です。

 

第3位 エメゴジの背ビレ


ゴジラ』(1998年トライスター版)
デザイン:パトリック・タトプロス

 

言うまでもなく本家東宝版とはかけ離れたデザインのエメゴジですが、背ビレも超独特。日本のゴジラは、一番大きな背ビレが中央列の2、3番目に配置されるのが基本なんですが、エメゴジは肩の後ろあたりにある左右の背ビレが突出してデカいんです。そのフォルムが私は凄く好きで、本当にエメゴジの造形はクールだと思うんですよね。

 

この点に関しては、デザイン担当のパトリックさんがちゃんとコンセプトを持って作っておられます。

 

実在する動物ではたいてい後向きになっている背ビレを、攻撃的に見えるように前向きにした。「形もとがったものにしたんだ」とタトプロス。「背ビレには層があって根元の層は500もあるけれど、先の方は層が少なくなっている。木の年輪のような感じだ。そしていちばん大きな背ビレを肩甲骨の上に作った。ゴジラが腕を動かした時に動きが大きく見えるようにね」。(劇場パンフレットより)

 

以前、エメゴジの応援記事も書いとりますので、ぜひこちらも見てみてください。

 

第2位 デスゴジの背ビレ


ゴジラVSデストロイア
造形:小林知己ら東宝映像美術スタッフ

 

ゴジラ死す」という衝撃的惹句でお馴染み『VSデストロイア』のゴジラは、体内の核分裂を制御できなくなり、爆発寸前という生ける核爆弾状態。その身体は所々赤く発光し、背ビレも真っ赤っかです。

 

映画の終盤、体内エネルギーの暴走でもの凄い光線を放出しながら、背ビレから溶けていくシーンがありますけれども、彼の強大さのシンボルが焼失していくというのは非常にショッキングでした。

 

本作の撮影でメインとなったゴジラ・スーツは前作『VSスペースゴジラ』の通称モゲゴジ(シリーズ最大級の2m超え!)を改良したものですが、最もデカい背ビレの位置がひとつ分上に変更されています。それによってやや重心が前に置かれるというか、より攻めな感じが強調されて、VSシリーズでは一番好きですね。

 

当時の造形スタッフの一人である贄田直樹氏によると、スーツには「首の細かい裂け目のムギ球も含めると、全身3000個ほど」(ホビージャパンゴジラVSデストロイア コンプリーション』より)の電飾が施されているそうです。重さは120〜130kgに及んだそうな。

 

いろんな意味で最大級のデスゴジは、その背ビレの美しさも絶品なのでした。

 

第1位 GMKゴジラの背ビレ


ゴジラモスラキングギドラ 大怪獣総攻撃』
造形:Vi・SHOP(代表:品田冬樹

 

出ました! 1位は白目でお馴染みのGMKゴジラ
(GMKの白目については、こちらもご一読ください)

 

平成ガメラのレギオンやイリスといった至高の怪獣造形で知られる品田冬樹氏の手掛けた唯一のゴジラですが、この背ビレは悶絶級に最高です。

 

本作のゴジラ初登場シーンは、原子力潜水艦が沈没した海底でバカでかい何かが目撃されるところですが、そこでフィーチュアされているのが他ならぬ背ビレ。青白く発光するもの凄くデカい背ビレが暗い海底を照らしながら、のっそりと移動していく様は、もう歴代ベストの背ビレといって差し支えないでしょう。

 

ここを見て「これは間違いなくヤバいやつだ!」と、公開当時中坊だった私は劇場で震えましたよ。

 

ヘラジカの角を意識したという形状は、VSシリーズに近いっちゃ近いんですけど、それよりもどこか歪で、面白いシェイプです。この歪さが独特な不気味さを強調しているし、何と言ってもデカくて、すげえ強そうなんですね。

 

個人的にゴジラを後方斜めから煽り気味にとらえたショットが好きなんですけど、GMKゴジラはそのアングルで撮った時に背ビレがめちゃくちゃ映えるんです。ということで、第1位!

 

ちなみに、今回資料として重宝したホビージャパン刊の『ゴジラ造形写真集』は、カバーのそでに歴代ゴジラの背ビレ写真が掲載されていて、背ビレファンには非常に熱い一冊であるということも、最後にお伝えしておきたいと思います。