悠田ドラゴのAll-Out ATTACK!!

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カテゴリーをご覧になれば、どんなブログかだいたい察しがつくかと思います。

『鬼滅の刃』の吾峠先生はカーペンター映画ファン説

鬼滅の刃』を読み始めました。今さら。

 

何やら鬼が人を喰ったり、首が飛んだり、けっこうグロかったり…といった評判は耳にしていて、そりゃあ面白そうだ!と関心は持っていたのですが、小生ランボー・シリーズを見たりで忙しかったものでして。漫画好きの妹に、そのうちちょろっと見せてもらおうかな、くらいにのほほんと考えていたのです。

 

ところが、職場では私を除く全員が『鬼滅の刃』を読了しており、呼吸がどうだとか、よくわからん話をしているわけですよ。その度に私は適当に笑ったりして、何となくその場の空気に乗っている感を出しながら、若干寂しい思いをしておりました。それでも「まあ仕方ない、わしゃランボーを見るので忙しいんじゃい」と独り言ちながら過ごしていたわけですが、ひょんなことから上司にコミックを貸してもらえることになり、遂に空前絶後の大ヒットマンガを体験する時がやってきたわけです。

 

で、数巻読み終って思ったことがあります。

 

これは早い話が、鬼退治版『ヴァンパイア/最期の聖戦』なんじゃないか!?ということです。

 

『ヴァンパイア/最期の聖戦』というのは、1998年に公開されたジョン・カーペンター監督作品。『ヴィデオドローム』などでお馴染みのジェームズ・ウッズ演じるヴァンパイア・ハンター:ジャック・クロウが、吸血鬼を殺しまくるヴァイオレンス・アクション映画であります(人間もめちゃくちゃ殺されます)。

 

ジャックはバチカンから指令を受けて、人間社会に潜む吸血鬼たちを抹殺するヴァンパイア・スレイヤーズの一員なのですが、これはつまり鬼殺隊ですよ。後者は後ろ盾のない非公認組織でしたけれども、スレイヤーズも公にはなっていない秘密組織なので、似たようなものです。

 

また、ジャックは両親をヴァンパイアに襲われ、吸血鬼と化した父親を自ら殺めた悲惨な過去を持っています(ヴァンパイアに咬まれると吸血鬼化するというゾンビ設定なのです)。一方、『鬼滅の刃』で主人公の炭治郎くんも家族を鬼によって惨殺されていますね。非常にピュアで若く、そしてあまりにも優しい炭治郎くんと違い、ジャックは暴力的で態度も悪い海千山千のおっさんですが、2人の境遇は近いものがあるわけです。

 

敵の設定も近いところがあって、日に当たると死ぬ、人間をヴァンパイア/鬼に変えて仲間にする…などが挙げられます。特に『ヴァンパイア/最期の聖戦』のボス・キャラである魔鬼ヴァレックと、炭治郎くんの宿敵である鬼舞辻は、けっこう似ていると思いました。2人ともそれぞれヴァンパイア/鬼の始祖であり、不死身なので長い年月を生き続けています。あと、両者とも色男でめちゃくちゃ強いのです。ヴァレックがどれくらい強いかというと、素手で『殺し屋1』のごとく人を真っ二つにできます。

 

といったところが、『鬼滅の刃』を鬼退治版『ヴァンパイア/最期の聖戦』と解釈する所以なのですが、さらにコミックを読み進めていくにつれ、私は『鬼滅の刃』の作者:吾峠先生が実はジョン・カーペンター監督のファンなのでは!?と思うようになりました。

 

すごくわかりやすいところで言うと、『鬼滅の刃』に蜘蛛をモチーフにした鬼:累さんというのが出てきますが、彼の住む山にいる人面蜘蛛みたいのは、明らかに『遊星からの物体X』のスパイダーヘッドへのオマージュですね。また、鬼達が社会に潜みつつ人間(弱者)を貪って生きながらえているというのは、社会に紛れながら密かに人間を支配して搾取を続けている『ゼイリブ』の構図と重なっても見えます。

 

そして、これにも触れないわけにはいけません。首チョンパ! 『鬼滅の刃』ではまあまあの頻度で首が飛ぶシーンが出てくると思いますが、首チョンパはいくつかのカーペンター映画においても超大事。『ヴァンパイア/最期の聖戦』ではヴァレックに惨殺された仲間や娼婦達が吸血鬼化するのを防ぐためにジャックが亡骸の首をはねるシーンがありますし、他にも『ゴースト・オブ・マーズ』などは首チョンパ・カーニバル・ムービーと呼ぶのに相応しい内容です。

 

ということで、牽強付会は承知の上で言いますが、吾峠先生はきっとカーペンター魂を持った漫画家であり、鬼滅の刃』を通してカーペンターイズムを世に浸透させようとしている伝道師であると勝手に結論づけたいと思います。

 

以上、『鬼滅の刃』のカーペンター映画っぽいところを見つけておじさんがキャッキャッしているだけの駄文でございました。