悠田ドラゴのAll-Out ATTACK!!

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カテゴリーをご覧になれば、どんなブログかだいたい察しがつくかと思います。

怪獣王の新時代──2010年代のゴジラ快進撃⑤

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ゴジラ戦略会議(通称ゴジコン) 

ゴジラ映画が息を吹き返した2014年以降、東宝では同社が世界に誇るムービー・モンスターの価値を継続的に強化していこうとする動きが活発化する。その中心となったのが、レジェンダリーの『GODZILLA ゴジラ』の世界的成功を受けて発足した“ゴジラ戦略会議(通称ゴジコン)”だ。

 

その目的は、劇場作品に限らず、多角的な視点でゴジラというキャラクターを幅広い世代に向けて売り込んでいく機会を作り出すこと。本丸である長編映画の合間に、様々なイベントやグッズ、コラボレーションなどを打ち出し、より多くの人々がゴジラに触れ続けられる機会を創出していくことだった。

 

例えば、2015年新宿コマ劇場跡地に建設されたTOHOシネマズ新宿を含む商業施設・新宿東宝ビルには、8階部分に“ゴジラヘッド”と呼ばれるゴジラの頭部を再現した巨大オブジェを設置。歌舞伎町の新たなランドマークとして、ゴジラの顔が機能することとなった。

 

他にも、初代『ゴジラ』公開日である11月3日にその生誕を祝う“ゴジラ・フェス”の開催、初の東宝公式専門ショップ“ゴジラ・ストア”の開店、USJ4-Dアトラクション“ゴジラエヴァンゲリオン・ザ・リアル 4-D”、児童向けに開発された新キャラ”ちびゴジラ”…等々、実例は枚挙に暇がない。

 

それらゴジコンが実現した数々の企画の中でも、個人的に思い出深いのが2019年3月に実施された“第1回ゴジラ検定”である。

www.kentei-uketsuke.com


検定では初代『ゴジラ』や空前のヒットとなった『シン・ゴジラ』はもちろん、歴代のゴジラ作品から名シーン、個性的なキャラクター達のプロフィールさらには東宝カニックに関することまでゴジラファンなら知っておきたい様々な問題を出題します。

 

ゴジラについて一定のレベルの知識を有していることを、公式に認定してもらうことができる画期的な検定だった。

 

当時私は東京会場(高輪にある東海大学のキャンパス)にて中級の試験を受験。教室にはしっかりとスーツを着用した試験管がおり、大学入試さながらに不正等がないか厳重にチェック。受験する側もいたって真剣で、試験開始ギリギリまでテキストを読みこんでいた人が少なくなかったように記憶している。

 

そんな厳正な状況の中、まるで人生の岐路に立たせれたような緊張感が漂う中(大げさに言っています)、試験開始がアナウンスされ、問題用紙を開いた。

「Q1. 『ゴジラ』(1984)に登場するショッキラスは、ゴジラに寄生していた生物が放射能により突然変異したという設定だが、その生物とは次のうちどれか。」

 

人生の岐路に、ショッキラスが立っていた。このシュールな体験は、おそらく一生忘れないであろう。

 

受験後Twitterをのぞくと、問題の解釈を巡る議論が起こっていたりして、「お前ら、真面目か!」と思わず叫びそうになった。そんな熱くて真剣なゴジラファンの皆さんが、私は大好きである。そして、受験料・テキスト代・当日の交通費・グッズ代、すべて込みで“ゴジラ検定”に2万ほど貢いだ自分のこともほめてあげたい。

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参考:第1回ゴジラ検定中級の問題用紙と合格認定書

 

また、これはゴジコン案件なのかどうかわからないが、2018年から2019年にかけてゴジラをテーマにしたオーディションも開催された。東宝とAlphaBoat合同会社が共同で主宰した“GEMSTONEクリエイターズオーディション”は、「YouTubeSNS を活用した人材発掘・オーディションプロジェクト」を謳った企画で、その第1回目のテーマが「ゴジラの世界観にインスパイアされたオリジナル作品<映像(アニメ・実写・CG)・音楽・イラスト>」だったのだ。

 

この企画は運営面の不手際が非難されるなど、やや後味の悪い印象が否めないものとなったが、それでも確かな成果を残している。ゴジラの公式YouTubeチャンネルで配信されている怪獣人形劇『ゴジばん』は、“GEMSTONE”がきっかけとなり制作されたコンテンツのひとつだ。同シリーズで最も人気の高い回である「シン・オジ - 親戚のオジさんゴジラ」の巻は、2021年4月上旬時点で再生数217万回を突破。映画館の外においてゴジラの価値を高めるという点で、成功例とひとつだと言える。

www.youtube.com


こういった多種多様な形でゴジラのキャラクターとしての存在感を強めていこうとする東宝の動きが、2010年代後半の快進撃をブーストしたことは想像に難くない。映画製作の現場とはまた違った場所で、ゴジラを支えていこうと奮闘する人々の熱意がそこには溢れていた。

 

続きはこちら↓

yuta-drago.hatenablog.com

 


<参考サイト>

BANGER!!!
『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』公開記念!東宝の秘密組織<ゴジコン>のナゾに科楽特奏隊が迫る!


NIKKEI STYLE
東宝の命運握る「ゴジラ戦略会議」 映画以外にも展開


はたラボーパソナキャリア働くコト研究所ー
「Gからはじまるブランドと全部コラボしよう」 東宝「ゴジラ戦略会議」の知られざる試行錯誤