悠田ドラゴのAll-Out ATTACK!!

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カテゴリーをご覧になれば、どんなブログかだいたい察しがつくかと思います。

怪獣王の新時代──2010年代のゴジラ快進撃⑩

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これからのゴジラ

2020年はパニック映画の世界にぶち込まれたような一年となった。いや、それは過去形ではなく、今もなお続いている。新型コロナウイルスが引き起こしたパンデミックは、エンターテイメントの世界を完膚なきまでに打ちのめし、映画館は一時期もぬけの殻となった。

 

この年、本来であればゴジラとコングが、世界各地のスクリーンで組んず解れつの激闘を繰り広げているはずだった。しかし、彼らもコロナの猛威を免れず、モンスター・ヴァース最新作『ゴジラVSコング』は延期を余儀なくされてしまう。その間、暗いニュースばかりが続き、映画界にとっては悪夢のような状況の中、我々はただひたすら待っていた。

 

そして2021年1月、その溜まりに溜まった不満ガスを、一気に解放する1本の動画が公開された。正式な予告編の第1弾である。空母の上でゴジラの顔面に拳を振るうコング、明らかに人間に対して敵意を剥き出しにし、熱線で建物を吹き飛ばすゴジラ、バカでかい斧をこしらえるコング…。予告編にしてラーメンにチャーハンと餃子とビールがついたような、豪奢をきわめるてんこ盛り映像が、我々の溜飲を下げた。

 

そして3月には、日本に先立ち中国やアメリカで遂に『ゴジラVSコング』が解禁。日本ではそれから2ヵ月遅れて5月に公開される予定だったが、忌まわしきコロナがまたもやそれを阻み、結局7月に再延期となった。ともかく、本日から日本で『ゴジラVSコング』が見られる。やっと。やっとだ。もはや待ち過ぎて、公開される実感が湧かないが、映画館のスケジュールを見れば、そこには2大怪獣の名前が躍っている。

 

嬉しいことは他にもある。コロナ以後、最初に発表された国産ゴジラ作品である全13話のアニメ番組『ゴジラS.P<シンギュラポイント>』が先日完結した。端的にいって、素晴らしい作品だった。視聴者を振るい落とす気満々な難解&早口学術ワードのつるべ打ちでスピーディに進む科学ミステリー。知的好奇心を絶えずくすぐりながら、徐々に怪獣たちによって浸食されていく人間社会の混乱を、こちらもテンポよく描き出す。そして、ラドンアンギラス、クモンガ、マンダといった過去作の怪獣を投入し、一捻り加えた新しいキャラクター性を持たせることで、こちらが想定していなかった魅力を引き出してもいる。極め付けは○○○○○○○○だ。シリーズ屈指の荒唐無稽さを誇る○○○○○○○○の巨大化を、ただ単にファンサービスとして使うのではなく、物語的な意味をしっかりと持たせ、なおかつ絵的な感動にもつなげてみせた。

 

こんなにもゴジラでウハウハな日々を過ごせていることは、にわかには信じ難い。すっかり茹で上った頭を冷やして考えてみれば、『ゴジラVSコング』が公開された後、はっきりと発表されているゴジラ作品は実のところない。ここ数年は、モンスター・ヴァースの新作が数本待ち構えていたり、日本ではアニメ版が連続公開されたりで、ゴジラで事欠くことはなかった。モンスター・ヴァースが止まり、日本国内のゴジラ作品も続かないとなると、ともすれば再びゴジラは休眠期に入ってしまうとも限らない。

 

それはダメだ! 断じて許さん! 人間ならICU直行な瀕死状態のゴジラの面前で容赦なく核兵器をドカンと爆発させ、無理矢理現場復帰させたかのドクター・セリザワのごとく、我々も心をワタミなみのブラック・マインドにしてゴジラを働かせ続けなくては。ということで、こんなご時世で思うように映画館へ足を運べない方も多いと思いますが、ジョン・カーペンター啓蒙漫画(と勝手に思っている)『鬼滅の刃』の劇場版が持つ動員記録を塗り替える勢いで、皆さん『ゴジラVSコング』を鬼リピートしましょう。そして、東宝とレジェンダリー/ワーナーに、やっぱりゴジラは作り続けなくちゃあかん!と圧力を与えましょう。

 

LONG LIVE THE KING!!