悠田ドラゴのAll-Out ATTACK!!

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カテゴリーをご覧になれば、どんなブログかだいたい察しがつくかと思います。

メンタリストさんへおすすめしたい映画3選

とあるメンタリストさんが、ホームレスや生活保護を受けている方に対して、人権侵害といえる発言をし、問題になっています。

 

メンタリストさん曰く、大して税金も収めていない私のような低所得の庶民が、たっぷり税金を払って福祉に貢献している自分のような上流国民を、今回のことで非難する筋合いはないのだそうです。

 

それはおかしいと思います。今回の問題のキーワードである「差別発言」を「ウンコ」に置き換えてみるとわかりやすい。

 

メンタリストが、多くの人の前でウンコを撒き散らしていた。
それを見た大多数の人は、彼を叱った。
叱られた彼は、辛口のウンコだと事前に断ったのに、真に受ける人が多くて困る、と言い訳した。

 

不特定多数の人に向けて、汚物を投げつけてきた大人を非難するのは、当たり前だと思います。「そんな汚いものを投げつけてくるな!」と、誰しも怒る権利があります。

 

だから、文句を垂れます。

 

メンタリストさんは、この動画は超辛口だから真に受けないで、みたいなことを言っていました。“辛口”というのは、辛口コメンテーターとか、そういう使い方をされる言葉ですよね。毒舌とほぼ同義だと思いますが、要は「辛辣な言葉を使って、対象を厳しく評価すること」だと思います。

 

で、なぜ辛口の内容“だから”、真に受けてはいけないのでしょう? 別に辛口だろうが甘口だろうが、何かを言葉で断じている以上、それはあなたが誰かに投げかけたい意見であるはずです。それを「真に受けないで」というのは、全く以て意味がわからない。

 

また彼は、個人的な見解を述べただけで、視聴者を煽動するものではない、という旨の発言もしています。これはつまり、彼の配信を観て「ホームレスなんかいない方が良いし、生活保護に税金を使ってほしくない」という主張をするようになったり、そういった価値観を持つようになったりする人がいても、「自分のせいではない」と言っているのと同じように思えます。勝手に同調したやつが悪い、と。

 

問題となった映像を観れば、彼はホームレスを排除した社会を望んでいると、多くの人が認識するでしょう。「ホームレスって、いない方が良くない?」と同意を求めてきているのですから。つまり、彼が考える理想的な社会のあり方を提示しているわけです。たとえ煽動する意図がなかったとしても、発言者がインフルエンサーと呼ばれるポジションの人物であることを踏まえれば、その発言が及ぼす影響には責任を持つべき。その責任の所在を「個人の感想」という言い訳であやふやにし、あまつさえ「勝手に同調した人」に押し付けているのは、姑息だという他ない。

 

加えて卑劣なのが、釈明動画における「家族とホームレスのどちらかしか救えないのなら、家族をとるでしょ? だから、命には優劣がある」という趣旨の発言。「家族とホームレスのどちらかしか助けられない」という、非常に現実味がなく、「家族を優先する」と答えざるを得ない設定の問題を投げかけ、こちらが反論できない状態にしおいて、「命には優劣がある」という自分の主張を強引に成り立たせている。そのこと(家族とホームレスのどちらが大事なのか)と、「社会がホームレスを救済することの是非」は、全然関係ないのにもかかわらず、です。

 

私は福祉の専門家でもないし、ホームレスや生活困窮者の実情に明るいわけでもなく、そういった境遇の方々を支援しているわけでもない。だから、偉そうなことは言えません。過去に優生学的な思想を少しも持ったことがないといったら嘘になるし、自分の中に差別的な考えがないという自信はありません。

 

近くにホームレスの方がいたら、臭いが気になることだってありますよ。しかし、だからといって、彼らを社会から抹殺せよという考えが、どれだけ下劣なのかはわかります。別に良い子ぶってるとか正義面をしているわけではなく、収めた税金がそういった方々を助けることに使われているのなら、本望です。少なくとも、オリンピックに使われるよりは数億倍有意義なのは間違いない。

 

メンタリストさんがこうした差別発言を公然と撒き散らした根本的な原因は、彼の思想や倫理観の問題だと思いますが、同時に“辛口”を履き違えているのではないか、とも感じました。

 

例えば「きみの文章はメリハリがなくて、つまらない」みたいな、問題の核心を突いており、建設的な批評だったら、それは“辛口”で良いと思うんです。しかし、今回メンタリストさんが“辛口”として発信した言葉は、偏見に満ちた汚い願望にすぎず、加えて社会的弱者に塗炭の苦しみを与えうる悪質な"口撃”でしかありません。

 

勝手な推測ですが、彼の中にはたぶん、「みんなが心の中で本当に思っていることを、堂々と言ってやる」「普通の人なら、周りの目が気になって吐き出せない本音を、代弁してやる」「建前や社会的圧力に屈しない俺、かっこよくない?」みたいな考えがあったのではないでしょうか。そうだとしたら、最高にダサい。

 

お前の本音を勝手にみんなの本音に置き換えるとなと思うし、そういった言葉の暴力を平気で振るう態度は、ただの未熟なガキンチョそのもの。たとえそういった幼稚な考えを抱いてしまったら、それを言葉にして吐き出す前に、はたして本当にそうだろうか?、この言葉を聞いて傷つく人はいないのだろうか?と、自制するのが大人のあるべき態度だと思います。

 

なお、釈明動画においてメンタリストさんは、ホームレスを救済する社会制度自体を否定するつもりはない、と話ています。その理由は、「生活に困窮した人達は、放っておくと犯罪に走りがちだから」だそうです。そう明言しています。つまり「犯罪予備軍であるホームレスが、我々上流層の生活を脅かさないために、税金を払ってやっている」、彼はそう言っているのではないでしょうか。

 

端的に言って、偏見が過ぎると思います。結局、彼の価値観は自分の損得しか基準がない。そう感じました。

 

そんなメンタリストさんに、おすすめしたい映画3本をご紹介します。ご本人がこの記事を見ることは永々にないでしょうが、ぜひご鑑賞ください。

 

トワイライトゾーン/超次元の体験 第1話「TIME OUT」
…超レイシストな白人男性が、ナチスから追い回されたり、KKKに火あぶりされそうになったり、ベトナムで米兵に殺されそうになったりする話です。邦題「偏見の恐怖」。

②ミディアン
…人間が自分達とは姿形が異なる闇の種族を、「不潔で汚らわしい連中だから」迫害しようとする話です。

ホテル・ルワンダ
…多数派部族がラジオでがんがんプロパガンダを流し、煽動して、少数派を大虐殺する話です。

 

13日の夜、メンタリストさんは謝罪動画を配信しています。ホームレスについて知識がない中、暴言を吐いてしまったことについては陳謝する。生活困窮者の支援をしている専門家を通じて、実態を勉強していき、そこでの体験を今後発信していくそうです。また、謝罪動画で得た広告収益等は、全額寄付されるとのこと。

→こちらの動画の内容が不誠実だったとして、再度謝罪しています。